■平成18年11月26日第3回市民公開講座記念号

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高齢化社会で注目される低侵襲&予防の手術

北原脳神経外科病院 脳血管内治療専門医 森本 将史

「脳血管内治療専門医は、脳神経外科専門医を取得後、さらなる研修・経験を必要とする資格です。」

北原脳神経外科病院
脳血管内治療専門医
森本 将史(もりもと まさふみ)


高齢化が進むわが国において、脳卒中治療のあり方も転機を迎えています。

以前から言われている、超急性期治療(出来るだけ早く治療を開始すること)の重要性については言うまでもありません。しかし、ひとたび症状を抱えてしまった高齢の患者さんには、リハビリの有効性、症状の改善度において、より大きな障壁が待ち受けていることも事実です。

そういった社会情勢を背景に、現在の脳卒中治療の視点は、発症前に危険を察知し出来るだけ低侵襲(身体に負担が少ない)で予防する治療に重点がおかれるようになってきています。
 @まず、脳卒中の中でも大半を占める脳梗塞ですが、無症状または軽度の症状でありながら、詳しく検査してみると、主要血管の狭窄や閉塞が見つかり、重篤な脳梗塞となる一歩手前である場合があります。

そのような場合に、皮下の動脈を脳表の血管につなぐバイパス手術や、血管内の動脈硬化病変を摘出したりする手術を行うことによって、脳血流を増加させたり、脳血管の塞栓源(血や脂の塊)を除去することで、脳梗塞を予防できることが確実にわかってきました。

 

↑クモ膜下出血の予防的治療

開頭してクリップをかける方法と、開頭せずにコイルを詰める方法がある

Aクモ膜下出血の原因となる脳動脈瘤の治療においても、従来は、クモ膜下出血になってから治療されていたわけですが、一度クモ膜下出血になると3割前後が死亡、3〜4割前後が重篤な後遺症という現実があります。

そのため、脳ドック等で動脈瘤が見つかり、安全に治療できる可能性が高い場合は、破裂する前に開頭手術によってクリップで挟んで処理するケースも多くなっています。

さらに、予防観点の治療に加えて、近年注目されているのは血管内手術です。

これは、足の付け根のわずかな傷だけで済むことから、高齢化社会を迎え、近年、欧米では急速に発達している治療法です。

 

↑カテーテルで血管を広げる

ステントという金属を足の付け根からカテーテルで留置し、血管を広げ、脳梗塞を予防できる

血管の中にカテーテルを誘導することで、細くなった頚部動脈をステントという金属で拡張したり、動脈瘤を血管の中からコイルで塞栓する治療ですが、侵襲が小さくて済みますので、今後わが国でも益々発展する治療と言われています。

ただし、どんな病気にもこの血管内治療が有効なわけではありません。時には逆に危険を大きくする場合もあります。まだ全国にこの治療の専門医は400人足らずしかいないため、この治療については専門医に相談することをお薦めします。

北原脳神経外科病院にも脳血管内治療の専門医がおりますので、疑問や心配な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

 

 


脳神経外科外来で、よく見られる頭痛は・・?
出血や腫瘍以外の、一般的な頭痛について解説します

 

 

 

 

【筋緊張性頭痛】

この頭痛は夕方になると首や肩が張ってきて、後頭部やこめかみ、目の奥などに締め付けられるような痛みが起こるものです。

入浴や飲酒で改善することもあり、過労・睡眠不足・精神的緊張(ストレス)などが誘因となります。ストレスにより、頭や頚部をとりまく筋肉が持続的に収縮すると筋肉の血の流れが悪くなり、老廃物がたまり、痛みがおこり、凝り(こり)の状態となります。

痛みが強くなるとますます筋肉の血の流れが滞り、悪循環ができあがります。乱視・遠視などの眼の障害や歯痛・むち打ちなどの頭頚部の病気が原因となる場合もあります。

過労・睡眠不足には、生活のパターンを変更することが必要です。首を前屈したままで事務やパソコン作業を続けている場合には、長く同じ姿勢をとらないように、仕事途中で背のびをしたり、肩をまわしたりして筋緊張を減らすようにします 。

北原脳神経外科病院
理事 久保 俊朗

「こんにちは。私は主に外来を担当しています。心配事はお気軽にご相談ください。」

 

肩や首の凝りを自覚している場合には、マッサージや温熱治療も有用です。いずれにしても心身ともに過緊張状態ですからリラックスすることが大切です。

頭痛を早く治すために、病院では鎮痛剤や筋肉弛緩剤・精神安定剤を投与し、痛みの悪循環を断ちます。


【片頭痛】

片頭痛は、片側のこめかみあたりが、脈に合わせてズキンズキンと痛み始め、ひどい痛みが数時間持続します。痛みが激しい時は吐くこともあります。人によっては、前兆としてギザギザの閃光が現れ、眼が見えなくなることもあります。また、肩こりから始まる片頭痛もあります。

動くと頭痛がひどくなるので、じっと寝ているしかありません。光をまぶしく感じ、音が頭にガンガン響きます。頭痛の頻度は月に1〜数回のことが多く、その他の日はこのようなひどい頭痛はありません。女性に多く、親が頭痛持ちなど遺伝的な要因も考えられます。精神的ストレス、生理、睡眠不足、睡眠過多、天候、まぶしい光、人混みが誘因になります。  

片頭痛が起きたら、暗い静かなところで一眠りすると不思議と治ることがあります。痛むところを冷やすと軽減します。市販の痛み止めを早めに飲むと効果のある人もいます。しかし、市販薬で効果のない人は、ぜひ専門病院を受診し、片頭痛用の薬を処方してもらってください。頭痛によるうっとうしい日々が大幅に減ります。

市販の頭痛薬であまり効果がないのに、長い期間乱用していると、頑固な頭痛持ちとなります。乱用の目安は、3ヶ月以上にわたり、月十回以上頭痛薬を飲み続けていることです。


【群発頭痛】

群発頭痛は、急に片側の眼窩から頭部へ広がる、激しくて目がえぐられるような痛みで、1〜2時間続きます。流涙、鼻汁、鼻閉、結膜充血などの症状も伴ないます。2時間位たつと痛みは嘘のように消失します。しかし、翌日以降も毎日決まった時間になると、再び同じ場所に激しい頭痛がおきます。数週間続いたあと自然に消失します。

頭痛の原因はよくわかっていません。頭痛の専門以外の医師からは「片頭痛」などと間違った診断をつけられることもあります。


【大後頭神経痛】

神経痛は手足や腰ばかりでなく、頭にもあるのをご存じですか。

これは大後頭神経といって首のうしろから後頭部を通っている神経が痛むものです。首の骨の変形がくる年齢(40才以降)に多い病気です。風邪・仕事の疲れ・会社の出張や家庭内のトラブル・不眠などを誘因として発症し、首すじから後頭部にかけて、うずくような激しい痛み・後頭部の重い感じ・熱感などが、瞬間的に出現します。

多くの人達は、『こんなに頭が痛いのだから脳出血ではないか』と心配して来院されたり、逆に『脳腫瘍でもできていたらどうしよう・・・』という不安のために来院されなかったりしますが、この神経痛は脳腫瘍などは全く関係ありません。

頚部の筋肉の緊張を和らげたり、神経痛によく効く薬を服用することによって、大多数はスッキリします。


【三叉神経痛】

三叉神経痛の患者さんは、『片方の顔や口唇・歯ぐきに軽くふれると、突発的に電気が走るような凄い痛みがきて、顔が洗えない、物が食べられない、しゃべる事が出来ない』と訴える方がほとんどです。

原因の多くは、脳の動脈が三叉神経の根元を圧迫することですが、脳腫瘍や多発性硬化症が見つかることもあります。薬(テグレトール)の内服治療が有効ですが、テグレトールが効かない場合は、手術をすれば治ります。

高齢などで手術を希望しない人には、高周波による神経ブロック治療がありますが、治療後しばらくして再発することもあります。

 



 


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