今回は、本日の講演にもある生活習慣病とうつ病の関係についてお話ししたいと思います。
うつ病は「こころの病気」、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は「からだの病気」と分類しているのは医者の都合であって、実際両者は密接に関係しあっているようなのです。
人間は光合成をしませんから、食事から得た糖や脂肪の栄養を血液中の酸素を使って燃焼させてエネルギーに変えているわけで、糖の代謝異常である糖尿病、血流の異常である高血圧、エネルギーの異常であるうつ病が密接に関係しているのは案外自然なことかもしれません。
うつ病が「からだの病気」ともいえるほど身体のあちこちに症状の出る病気であることは昔から知られていました。むしろ「気分が落ち込む」「何も楽しくない」「頭が働かない」といった精神症状は尋ねられるまで自覚せず、身体症状に気づいて内科や脳外科や整形外科などを受診されることが多いとさえいわれています。
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一番多いのが不眠症。次に疲れやすい、全身がだるい、食事がおいしくない、といった症状がよくみられます。他に頭痛、頭重感、肩こり、めまい、背部痛、動悸、頻尿などの自律神経症状も少なくありません。
こうした症状が続き、病院でいくら検査しても異常が見つからない場合、うつ病の自律神経症状である可能性が高くなってきます。このようにうつ病と身体とは密接に関係しているのです。
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さて本題に入りましょう。最近、メタボリックシンドロームとうつ病の関連が注目されるようになってきました。どうやらうつ病のある人は高血圧を起こしやすかったり、糖尿病が治りにくかったりするようなのです。
うつ病があると虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)にかかりやすい、うつ病があると心筋梗塞後の死亡率が上がる、うつ病が重症であるほどインスリン(血糖を下げるホルモン)の効き目が落ちるなど、さまざまな研究結果が出ています。
逆に高血圧のある人の2-3割、糖尿病のある人の1-3割がうつ病にかかっているといわれていますが、これにはストレスホルモンといわれるアドレナリンやコルチゾール(ステロイドホルモン)が関係しているのではないかと考えられています。
これらのホルモンはストレスに反応して分泌され、血圧や血糖を上昇させますから、慢性ストレスがうつ病と生活習慣病を同時に引き起こしている可能性があるわけです。
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生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防法については今日の講演者に譲るとして、最後にセロトニンとの関連について少しお話ししましょう。
セロトニンという物質は細胞同士が情報を伝え合う信号のひとつで、体内のあちこちで働いていますが、多くの抗うつ薬は脳内のセロトニンの働きを調節することによってうつ症状を改善すると考えられています。
このセロトニンは脳以外の場所、たとえば血小板の中にもあって、血小板を凝集させて血栓を作るときの信号にもなっています。
抗うつ薬はこの血小板凝集を抑制することでうつ病の人が心筋梗塞になるリスクを下げることがわかっています。これとは別に抗うつ薬がうつ病と糖尿病の両方にかかっている人の血糖値を改善することも知られています。
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こうして考えると抗うつ薬にはストレスホルモンに対抗する「癒し効果」もあるようですが、セロトニンの働きを改善するのは薬だけではありません。
運動、食事、笑い、ペットなどにも同じような働きがあることが報告されています。最新の医学研究は自然で当たり前のことを証明しつつあるようです。 |
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