■平成17年7月10日第2回市民公開講座記念号

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うつ病と生活習慣病とセロトニン 

北原リハビリテーション病院精神科部長 近藤 伸介

北原リハビリテーション病院 
精神科部長 近藤 伸介

「こころのケアについてお気軽にご相談ください。」

 
  今回は、本日の講演にもある生活習慣病とうつ病の関係についてお話ししたいと思います。

うつ病は「こころの病気」、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は「からだの病気」と分類しているのは医者の都合であって、実際両者は密接に関係しあっているようなのです。

人間は光合成をしませんから、食事から得た糖や脂肪の栄養を血液中の酸素を使って燃焼させてエネルギーに変えているわけで、糖の代謝異常である糖尿病、血流の異常である高血圧、エネルギーの異常であるうつ病が密接に関係しているのは案外自然なことかもしれません。

うつ病が「からだの病気」ともいえるほど身体のあちこちに症状の出る病気であることは昔から知られていました。むしろ「気分が落ち込む」「何も楽しくない」「頭が働かない」といった精神症状は尋ねられるまで自覚せず、身体症状に気づいて内科や脳外科や整形外科などを受診されることが多いとさえいわれています。

 

 

一番多いのが不眠症。次に疲れやすい、全身がだるい、食事がおいしくない、といった症状がよくみられます。他に頭痛、頭重感、肩こり、めまい、背部痛、動悸、頻尿などの自律神経症状も少なくありません。

こうした症状が続き、病院でいくら検査しても異常が見つからない場合、うつ病の自律神経症状である可能性が高くなってきます。このようにうつ病と身体とは密接に関係しているのです。

 さて本題に入りましょう。最近、メタボリックシンドロームとうつ病の関連が注目されるようになってきました。どうやらうつ病のある人は高血圧を起こしやすかったり、糖尿病が治りにくかったりするようなのです。

うつ病があると虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)にかかりやすい、うつ病があると心筋梗塞後の死亡率が上がる、うつ病が重症であるほどインスリン(血糖を下げるホルモン)の効き目が落ちるなど、さまざまな研究結果が出ています。

 逆に高血圧のある人の2-3割、糖尿病のある人の1-3割がうつ病にかかっているといわれていますが、これにはストレスホルモンといわれるアドレナリンやコルチゾール(ステロイドホルモン)が関係しているのではないかと考えられています。

これらのホルモンはストレスに反応して分泌され、血圧や血糖を上昇させますから、慢性ストレスがうつ病と生活習慣病を同時に引き起こしている可能性があるわけです。

 

 
 生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防法については今日の講演者に譲るとして、最後にセロトニンとの関連について少しお話ししましょう。

 セロトニンという物質は細胞同士が情報を伝え合う信号のひとつで、体内のあちこちで働いていますが、多くの抗うつ薬は脳内のセロトニンの働きを調節することによってうつ症状を改善すると考えられています。

このセロトニンは脳以外の場所、たとえば血小板の中にもあって、血小板を凝集させて血栓を作るときの信号にもなっています。

抗うつ薬はこの血小板凝集を抑制することでうつ病の人が心筋梗塞になるリスクを下げることがわかっています。これとは別に抗うつ薬がうつ病と糖尿病の両方にかかっている人の血糖値を改善することも知られています。

 こうして考えると抗うつ薬にはストレスホルモンに対抗する「癒し効果」もあるようですが、セロトニンの働きを改善するのは薬だけではありません。

運動、食事、笑い、ペットなどにも同じような働きがあることが報告されています。最新の医学研究は自然で当たり前のことを証明しつつあるようです。

高血圧・糖尿病・肥満は大敵
再発予防には...薬が重要!
←ワーファリン
       

 脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)の患者数は、高齢化とともに増加してきています。

脳梗塞の予防には、まず、脳梗塞にならないようにすることと、一度脳梗塞になった方が再発しないようにすることがあります。

高血圧、糖尿病はどちらの場合にも危険因子であり、ちゃんと管理しないと脳梗塞になってしまいます。高血圧や糖尿病になっていなくても、内臓脂肪型の肥満の方は将来高血圧・糖尿病になりますので要注意です。

 再発予防には薬が重要です。特にアスピリン(商品名バイアスピリン)は再発の危険性を約25%も低下させます。チクロピジン(商品名パナルジン)やシロスタゾール(商品名プレタール)も再発予防効果は高い薬剤です。ただ、飲みはじめた頃に肝臓障害を生じやすいので、少し注意しなければいけません。

 心房細動という、脳塞栓(広範囲な脳梗塞)を生じやすい不整脈があります。心房細動の方には脳塞栓の予防のため、ワーファリンという薬を使用します。 あの長島茂雄さんも飲んでいます。この薬は人により効き過ぎたり、効き目が足りなくなったりしますので、常に血液検査(プロトロンビン時間)を測定してその量を調節しなければいけません。また納豆が食べれない(ワーファリンの効果が無効になる)ことも有名です。

 脳梗塞の外科的治療法には、狭くなって詰まりやすくなった頚動脈の内側を広げる手術や、詰まった血管の先に新たに別の血管を吻合するバイパス術などがあります。


北原脳神経外科病院
理事 久保 俊朗

「こんにちは。私は主に外来を担当しています。心配事はお気軽にご相談ください。」

 

 また、発症直後で、脳梗塞が完成していない場合は脳血管撮影をしながら閉塞部位まで細いカテーテルを挿入し、血栓溶解剤を直接注入し、閉塞した血管の再開通をはかることもあります。

 まだ動物実験などの研究段階なのですが、脳梗塞になって障害を受けた脳に、ある種の細胞(神経幹細胞など)を投与すると、脳神経細胞が再生することがわかってきました。これは従来の医学の常識をくつがえすセンセーショナルなことなのです。国家プロジェクトとして行なわれており、数年後には脳梗塞の治療が根底から変わる可能性があります。


このピクピク、何とかしたい!

 
片方の顔面、特に眼瞼(まぶた)周囲から口角にかけてにピクピクとした不随意運動が出現する疾患です。人前での緊張時に、より強く表れます。原因は顔面神経が、加齢とともに屈曲蛇行してきた血管(主として動脈)により圧迫刺激されることによります。

この疾患は、手術により顔面神経を圧迫している動脈を移動して、神経の圧迫を解除することで劇的に良くなります。

 一方、手術を希望しない人には、ボツリヌス菌のA型毒素であるボトックス(アラガン社製)の注射による治療が平成12年より保険適応となっています。 外来で5分くらいで治療が終了します。

 ただし、有効期間が3〜6ヶ月で、繰り返して注射しなければならないのが難点です。

 当院では1回の注射で9ヶ月コントロールされている人もいます。ボトックスを投与するには研修を受けた専門の医師が必要で、当院では久保医師が施行しています。


 

 


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